【12/14~ 開催中】正木美術館の名品紹介 vol. 16

正木美術館の名品紹介 Vol.16 -Winter Exhibition-  

【会場】 パークホテル東京 25F アトリウム
【期間】 2018年12月14日(金)~2019年3月14日(木)
【料金】 無料
正木美術館ホームページ http://masaki-art-museum.jp

 大阪の泉北郡忠岡町にある正木美術館は、中世水墨画や墨蹟を中心に茶道具、仏教美術作品、考古資料など幅広く所蔵しています。本展はパークホテル東京25階のアトリウムで16回目となる展覧です。今回は当館のコレクションの中から、茶の湯の世界で賞玩されてきた茶道具をご紹介いたします。古くから至上のものとされていた中国渡来の品に加え、侘茶が成立したことで新たに価値が見出された日本や朝鮮半島の茶道具も選びました。
当館が開館50周年を迎えた今年、ぜひこの機会に創設者正木孝之によるコレクションをお楽しみください。

【作品解説】

1 「呉須赤絵壺(ごすあかえつぼ)」  中国・明時代/17世紀

 中国華南の民窯でつくられたと伝わる。赤絵の奔放な作風の絵付けは日本にも多く輸入され、茶の湯の世界で特に好まれた。
 本作は口縁が低くつくられており、肩がふっくらと張り出してややずんぐりとした姿の壺である。肩には獅子や装飾的な七宝文が配され、胴周りには四つの花頭窓 を設けてそれぞれに蓮や鳳凰、鷺などの花鳥文が少しずつ意匠を変えて描かれている。
 昭和二十七年四月十三日、当館創設者正木孝之が美術館に隣接する正木記念邸において茶室披きの茶事を催した際、本作が薄茶席の床に飾られた

 

 

2 「黄瀬戸福字鉢(きせとふくじはち)」  桃山時代/16世紀

 円形の底から縁がまっすぐに立ち上がった浅い鉢で、寺院で法要の際などに用いる打楽器銅鑼(どら)に形が似ていることから銅鑼鉢とも呼ばれる。
本作は、美濃の大萱(現在の岐阜県可児市久々利)に存在した窯下窯(かましたがま)(黄瀬戸の優品が多く作られた古窯)の作と伝わる。黄瀬戸特有の、鉄釉による柔らかで温かみのある黄色釉が全体に施され、部分的に点じられた緑色の胆礬(たんばん)による釉だまりが彩を添えている。見込みに大きく彫り込まれた「福」の字や花卉文など、吉祥性に富んだ意匠で装飾されている。

 

3 「谷焼香合(たにやきこうごう) 赤楽木魚(あからくもくぎょ) 銘魚鼓(めいぎょく)」  江戸時代/17~18世紀

 谷焼は大阪府堺市熊野町(ゆやちょう)の谷善右衛門(たにぜんえもん)(1675~1741)が始めた楽焼(らくやき)である。堺の豪商であった善右衛門は当時の茶人らと交流しながら茶道に長じ、楽家五代の宗入(そうにゅう)(1664~1716)を招いて指導を受けながら窯を開いて谷焼を創始した。
 本作は、読経・念仏の際に叩いて鳴らす仏具である木魚をかたどった香合である。本作の銘でもある「魚鼓」は禅寺などで吊るして用いられる魚形をした板状の仏具で、木魚はこれをもとにして成立したといわれる。近代の大阪最大の文化人といわれた平瀬露香(ひらせろこう)(1839~1908)による命名で、胴の朱書き も露香の手によるものである

 

4 「堅手茶碗(かたてちゃわん) 銘浜千鳥(めいはまちどり)」  朝鮮王朝時代/16世紀

 堅手とは朝鮮半島でつくられた高麗茶碗の一種。淡紅色をした器肌に生じる白い斑文や、青味の釉が流れた跡など、さまざまな景色 が見られる。
本作の高台 は力強く竹節状に削られ、高台内には兜巾 が高く残っている。高台の半分程度が釉のかからない露胎となっており、釉掛けの際の指跡も確認できる。
銘の「浜千鳥」は焼成時に生じた斑紋状の模様が、水際を飛び交う千鳥のように見えることから命名されたものと考えられ、青味がかった釉も水辺の景色を思わせる。箱書 には、江戸時代の大名茶人小堀遠州(こぼりえんしゅう)(1579~1647)によって「かた手 浜千鳥」とある

 

5 「瀬戸黒片呼継茶碗(せとぐろかたよびつぎちゃわん)」  桃山時代/16世紀

 瀬戸黒(桃山時代に美濃で焼かれた黒無地の茶碗)に呼継を施した茶碗である。呼継は陶芸の修復技法の一つで、 欠損した器を漆を用いて異なる陶片で補うことをいう。
本作には「素緇(そし)」という銘がつけられており、素は白色、緇は黒色を意味する。箱書きは明治から昭和にかけての茶人細野申三(ほそのしんぞう)(1872~1961)によるもので、雅号である燕台(えんだい)の署名が見られる。燕台は金沢で油屋を営み、茶道や書画骨董に精通していた。若き北大路魯山人(きたおおじろさんじん)を見出した人物としても知られ、金沢最後の文人ともいわれている。

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