【展示】正木美術館の名品紹介vol. 14

正木美術館の名品紹介 Vol.14 -Summer Exhibition-  

【会場】 パークホテル東京 25F アトリウム
【期間】 2018年6月15日(金)~9月20日(木)
【料金】 無料
正木美術館ホームページ http://masaki-art-museum.jp

 

 大阪の泉北郡忠岡町にある正木美術館は、中世水墨画や墨蹟を中心に茶道具、仏教美術作品、考古資料などを幅広く所蔵しています。本展は東京汐留パークホテル東京25階のアトリウムで14回目となる展覧です。今回は当館コレクションの中から茶席で用いられてきた茶道具を中心にご紹介いたします。
 当館の創設者である正木孝之は日本・東洋の古美術作品を蒐集する傍ら、茶道にも熱心に取り組み研鑽を積みました。本展出陳作品は、当館展示室に並ぶだけではなく、実際に茶の湯の席で茶道具としても用いられてきたものです。茶席を彩り、客人の眼を楽しませた佳品をお楽しみください。

 

【作品解説】

1「伊賀蹲花入(いがうずくまるはないれ)」室町時代

 主に花入として用いられた茶器の蹲には、本作のごとく人が蹲るような形のものと、壺形のものの二種類がある。もともとは農家において茶壺や油壺として用いられていた器であったが、茶人から侘びの興趣を見出され茶道具として珍重されるようになった。伊賀焼や信楽焼に多く見られる形である。
 本作は、口縁がわずかに高さを持って外側にひねり返されたつくりになっている。首を傾げるようにして胴に対し歪めて口がつけられている点がおもしろい。肩の部分には花入釘にかけるための遊環(ゆうかん)が菊花形の台座に付けられている。

 

唐三彩香合(とうさんさいこうごう)」中国・唐時代

 唐三彩は、中国の唐時代に長安洛陽付近でつくられた三彩陶器のことを指す。8世紀頃に盛んに制作され、素地に緑・黄・褐色・藍などの釉薬をかけて焼成される。
 本作は緑と褐色、釉がかからない白色の化粧土の部分を含めて三色によって全体を彩られた香合である。香合は香を入れるための蓋つきの小さな器で、主に陶磁器と漆器でできたものがあり、それぞれ用途によって使い分けられる。本作のような陶磁器の香合には練香(ねりこう)を入れ、十一月から四月頃の茶席で用いるのが一般的である。

 

3「古備前茶入(こびぜんちゃいれ)」桃山時代

 備前焼は岡山県備前市周辺で焼かれた陶器で、備前窯は中世から続く六古窯(ほかに瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波立杭の窯が知られる)の一つにも数えられてきた。一般的には江戸初期以前につくられた備前焼を特に古備前と呼ぶ。
 古備前は、釉薬を用いない素地の風合い、渋い色味、窯で焼成した際に偶然に現れる紅色の模様などが「侘び」を表すとして茶人たちに大いに好まれた。本作にもこれらの特徴がよく表れており、ふっくらと張り出した胴に三重に彫られた界線、ざっくりとした土味の素地、そこに現れた紅色の模様など、見どころの多い大らかな姿である。

 

4「茶碗(ちゃわん) 銘(めい)敦(あつ)盛(もり)
5「茶碗(ちゃわん) 銘(めい)松島(まつしま)」 与州窯(よしゅうかま) 藤田登太郎(ふじたとたろう)作 現代

 桃山時代に美濃(現在の岐阜県南部)で焼かれその後制作が途絶えていた志野焼を、現代で再生する活動を続けている藤田登太郎による作品である。志野焼は長石を原料とする釉を用いて焼かれ、白い器肌とそこにあらわれる小さな穴、鉄絵のような絵付け、表面の色調の変化などが見どころとされる。
 作品4につけられた銘の敦盛は、平安時代末期の平敦盛を指し、この若くして討たれた若武者の悲劇の物語は後世多くの芸術作品に取り上げられた。語りを伴う幸若舞(こうわかまい)の演目としてもよく知られており、織田信長などの武将が好んで舞ったと伝えられている。舞曲の中でうたわれる「人の世ははかなく夢幻(ゆめまぼろし)のようなものである」という詞が、本作では淡雪が積もったかのような柔かな色調で表現されている。
 作品5の銘である松島は、宮城県松島湾を中心とした諸島をいい、京都府の天橋立、広島県の宮島とともに日本三景として広く知られている。周囲一帯が黒松に覆われていることから松島の名で親しまれ、風光明媚な土地として古くから文学や芸術作品にたびたび描かれてきた。松島の松樹を思わせる力強い鉄絵の文様が特徴的である。

 

 

 

 

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