写心巡礼~The Happiness of Peace in Nagasaki

Corridor Gallery 34

長崎県内には130以上の教会が点在し、長崎市の西約100キロにある五島列島だけでその数は50を数える。

260年におよぶキリシタン禁教令下の苛烈な弾圧、迫害、殉教を経て、先祖から口伝された伝承や信仰を心のよりどころに教えを守り続けた人々は、明治期に禁教令が解かれた後、信仰復活の証しとして教会「神の家」を建てた。信者たちの祈りの心は教会とともにあり、日常の暮らしや何気ない挨拶、食事、日焼けした笑顔にも見いだすことができる。さりげなく、きらと輝くそんな美しい暮らしを訪ね、心を写す「写心巡礼」に出掛けた。

まだ日が昇らぬ早朝、ミサにあずかろうとおじいちゃん、おばあちゃんたちが急な坂をゆっくり登ってくる。漆黒のつぶらな瞳が美しい少女が一心に神様に祈る姿は、まるでマリア様のよう。いつもはひっそりと森の中に隠れるようにある教会が、100年に一度のお祝いで喜びに溢れた。夕方、教会学校が始まり、神父様と子どもたちの楽しそうな声がお御堂にこだまする。ステンドグラスの光までが祝福しているみたい。温かいオレンジ色の夕日に包まれた教会から、讃美歌がかすかに聞こえてきた。

2018年、世界文化遺産への登録以降、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」への関心が高まり、当地を訪れる人も増えている。大切なのは、教会をはじめとする建物以上に、先祖からの信仰を守り続けた人たちとその祈りの心。このかけがいのない宝物を、世界遺産の歴史から学び、和解と希望、そして平和の聖地である長崎の「信仰とともにある美しい暮らし」を〝写心〟で伝えられたら、と願っている。

 

2019年11月
松田典子

 

Corridor Gallery 34 写心巡礼~The Happiness of Peace in Nagasaki
期間:2019年11月19日(火)-2020年1月7日(火)
時間:11:00 A.M. ~ 5:00 P.M.
場所:Corridor Gallery 34(パークホテル東京34階)

 

松田典子(まつだのりこ)

写真家。
兵庫県出身。
ニューヨークで写真を学ぶ。比嘉良治、栗田紘一郎、ICP (International Center of Photography)ではDavid H.Wellsらに師事。
2007年、東京写真月間記念写真展自由部門で最優秀賞受賞。
2017年、タイ王国政府観光庁主催Women’s Journey Thailandプロジェクト「Thailand through HER Eyes 2017」に日本の女性写真家代表として参加。
10年以上にわたり長崎や五島列島を訪れ、「信仰とともにある美しい暮らし」をテーマに世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の撮影を重ねる。新聞用のフォトエッセイ連載「写心巡礼~祈りの五島列島~」「写心巡礼~光福の長崎」を共同通
信社から全国配信。これらの作品の写真展のほか、プロジェクターで建物等に映し出す野外アート企画「星空写真展」を各地で開催。
2018年7月、『世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を巡る 美しき教会と祈り』を講談社から出版。
2018年12月、写真集『写心巡礼~The Happiness of Peace in Nagasaki』を出版。

“日本の美意識が体感できる時空間”

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