第19回 正木美術館展

正木美術館の名品紹介

大阪の泉北郡忠岡町にある正木美術館は、中世水墨画や墨蹟を中心に茶道具、仏教美術作品、考古資料などを幅広く所蔵しています。本展は東京汐留パークホテル東京25階のアトリウムで19回目となる展覧です。今回は当館コレクションの中から、日本古代の祭器と装身具をご紹介いたします。
祀りや儀式に用いられた祭器には人々の様々な祈りがこめられており、用途を越えた装飾性を見出すことができます。装身具も人々の身体を飾るだけでなく、権力や身分を象徴する役割や、魔除や呪術的な意味合いも持っていました。本展を通じて、はるか古の造形と人々の創造性、そこに込められた願いを感じていただければ幸いです。

【会場】 パークホテル東京 25F アトリウム
【期間】 2019年9月13日(金)~12月12日(木)
【料金】 無料
正木美術館ホームページ http://masaki-art-museum.jp

【作品解説】

1「注口土器(ちゅうこうどき)」 縄文時代晩期
 縄文時代の土器は時期によって器形や文様に変化が見られ、その特徴から主に草創期・早期・前期・中期・後期・晩期の六期に分類される。縄文時代晩期は、装飾された器の文様がより繊細になり、器の機能性も高まっていった時期である。
本作は扁平な丸い胴に注ぎ口がついており、液体を注ぐためにつくられた器と考えられる。線文や雲形文といった文様が刻まれ、表面を磨いて平滑に仕上げられている。口縁は粘土片を貼り付けて装飾されており、おそらく祭器として酒などを入れて用いられたものと考えられる。

2「土師器(はじき) 猪(いのしし)」 奈良時代
 奈良県橿原市から出土した動物形の土師器である。土師器は古墳時代以降に制作された素焼きの土器で、人物や動物をかたどった埴輪も土師器の一種に分類される。
本作は箱書には「猪」とあるものの、猪よりは馬に近い形をしている。頭部は地面へ向かって首を長くのばし、首にはたてがみを表現したかのような指圧跡が確認できる。尻側の先端が欠けて尾の短い猪のようにも見えるが、本来は馬の形状を表す尾もつくられていたのではないかと考えられる。

3「車輪石(しゃりんせき) 奈良県丸山古墳出土」 古墳時代
 緑色凝灰岩と思われる石を加工した腕飾りである。扁平な楕円形に成形した石の中央に孔を貫通させ、表面には放射状に18本の線をつくり出している。この種の腕飾りはもともと笠形の貝を加工してつくる腕飾りを模したものであったが、江戸時代にこの放射線状の形状と車輪の形が似ることから「車輪石」の名称がつけられた。
単なる装身具ではなく、埋葬される死者の身に付けることで、その死者の権威が象徴される宝器の一つであったと考えられる。

4「勾玉(まがたま)」 古墳時代
 C字形にゆるく湾曲した形で、丸く膨らんだ頭部に穴をあけ紐を通して身に付ける装身具である。勾玉は紀元前5000年前の縄文時代の頃からつくられ、徐々に大きさや、材料、形状が多様化していった。勾玉の制作が最盛期を迎えた古墳時代の作例として、碧玉、水晶、瑪瑙などを用いたものが確認されている。頭部の穴から放射状に数本の溝が彫り込まれた出品作のような勾玉は、丁子の形を連想させる形状のものとして分類される。

5「銅剣(どうけん)」 弥生時代
 本作のような青銅製の武器や鏡、銅鐸などが日本に伝わったのは弥生時代の頃とされている。同時期に青銅よりも性能が優れた鉄や製鉄技術が伝わり、実用には鉄製のものが用いられ、祭器や権力を象徴する用途には青銅製のものが使用されるようになった。
本作もまた祭礼時に用いられた祭器の一つと考えられる。現在は刀身の片側にのみ棘状の突起が確認できるが、本来は両側に備わった左右対称の形状であったと推察される。

“日本の美意識が体感できる時空間”

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