第20回 正木美術館展

正木美術館の名品紹介

大阪の泉北郡忠岡町にある正木美術館は、中世水墨画や墨蹟を中心に茶道具、仏教美術作品、考古資料などを幅広く所蔵しています。本展は東京汐留パークホテル東京25階のアトリウムで20回目となる展覧です。今回は当館コレクションの中から、茶の湯の世界で大切に用いられてきた茶道具をご紹介いたします。
当館の創設者である正木孝之は、古美術作品の蒐集をするかたわらで茶道にも熱心に取り組んでいました。当館コレクションの一角をになう茶の湯にまつわる作品は、孝之が実際に茶席で用いることもあった茶道具です。茶席を彩り、客人の目を楽しませてきた茶道具をどうぞお楽しみください。

【会場】 パークホテル東京 25F アトリウム
【期間】 2019年12月13日(金)~2020年3月12日(木)
【料金】 無料
正木美術館ホームページ http://masaki-art-museum.jp

【作品解説】

1「赤楽茶碗(あからくちゃわん) 銘武蔵野(めいむさしの)」 伝道入(どうにゅう)作 江戸時代
楽焼は、京都の陶工である楽家が焼成した、手捏ね(てづくね)(ろくろを使用せず、ヘラと手だけで形をつくり出すこと)でつくられた作品である。中でも赤色調を呈するものを赤楽といい、赤土に上釉(うわぐすり)をかけて焼成される。「一楽二萩三唐津」といわれるように、茶人の間でたいへん好まれてきた茶器である。
本作は、楽家三代目の道入(1599~1656。通称ノンコウ)の作と伝わっている。高台(こうだい)の畳付(たたみつき)(畳に接地する部分)はやや幅広に取られ、そこに目跡(めあと)(焼成の際に窯内や他の器との溶着を防ぐため、かませをした跡)が確認できる。胴部は厚みがあり、全体的にどっしりとしたつくりである。

2「絵高麗梅鉢文茶碗(えごうらいうめばちもんちゃわん)」 中国・元時代
奈良県橿原市から出土した動物形の土師器である。土師器は古墳時代以降に制作された素焼きの土器で、人物や動物をかたどった埴輪も土師器の一種に分類される。
本作は箱書には「猪」とあるものの、猪よりは馬に近い形をしている。頭部は地面へ向かって首を長くのばし、首にはたてがみを表現したかのような指圧跡が確認できる。尻側の先端が欠けて尾の短い猪のようにも見えるが、本来は馬の形状を表す尾もつくられていたのではないかと考えられる。

3「唐藍彩香合(とうらんさいこうごう)」  中国・唐時代
香合は香を入れる蓋つきの器で、茶道具の一つである。漆塗・蒔絵・堆朱(ついしゅ)(朱漆を何度も塗り重ね、その漆の層に模様を彫り出す彫漆技法の一つ)など多様な素材でつくられ意匠も様々であるが、本作のような陶磁器による香合は茶の湯では主に炉の季節(11月から4月までの茶席)に用いられる。
平たくやや大振りの器形で、蓋はふっくらと張り出している。濃い藍色の釉の上から透明釉をかけて仕上げられており、器体内部には透明釉のみがかかっている。底裏は露胎(ろたい)で白色調の胎土が確認できる。

4「青磁香炉(せいじこうろ) 郊壇窯(こうだんよう)」 中国・南宋時代
郊壇窯は中国浙江省杭州の南部郊外に存在した南宋時代の官窯である。この時代は作陶技術が最高潮に達していた時期で、優れた作品が多く作られている。
器体全体に青灰色の釉薬が薄くかかり、窯変によって黄褐色に発色している部分も多く見られる。三つ足の先端部分は焼成によって赤褐色を呈す。
平らに広がる口縁部や三つ足を伴なう本作のような香炉の形状は、元来は鬲(れき)とよばれる中国青銅器の形を模したものであったが、日本では袴を穿いた姿に似ることから袴腰香炉(はかまごしこうろ)と呼ばれている。

5「オランダ焼 福字鉢(ふくじはち)」 江戸時代
オランダ焼きとは、江戸時代にオランダの東インド会社によってヨーロッパから日本にもたらされた陶磁器を指していう。1630年頃から、茶道具として用いられる器物を日本から注文してオランダで焼かせていたことが知られている。
本作は外側面に三匹の小獣を蔦(つた)で繋ぐ絵付けをして、数色で彩色する素朴な模様が見られる。見込に「福」の字を大きく書きつける意匠が珍しい。漢字のくずし方が日本とは異なるため、日本から「福」の字をあしらった意匠での注文を受け、漢字に精通しないオランダの職人によって書かれたことを想像させる。

“日本の美意識が体感できる時空間”

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