第22回 正木美術館展

大阪の泉北郡忠岡町にある正木美術館は、中世水墨画や墨蹟を中心に茶道具、仏教美術作品、考古資料など幅広く所蔵しています。本展はパークホテル東京25階のアトリウムで22回目となる展覧です。今回は当館のコレクションの中から、花鳥文をテーマに作品を選んでご紹介いたします。四季を持つ日本では、季節の移り変わりや自然の美しさを美意識の中に取り込み、意匠としても表現してきました。四季折々の花鳥もまた、姿かたちが賞玩され美術作品に多く取り入れられています。

古来より育まれてきた日本の美意識の一端を、作品を彩る花鳥を通じてお楽しみいただければ幸いです。

【会場】 パークホテル東京 25F アトリウム
【期間】 2020年6月12日(金)~9月10日(木)
【料金】 無料
正木美術館ホームページ http://masaki-art-museum.jp

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【作品解説】

1「青銅獅子花鳥文八稜鏡(せいどうししかちょうもんはちりょうきょう)」 奈良時代/8世紀

青銅を鋳造してつくられた八稜鏡である。中国でつくられた青銅鏡を模して日本で鏡をつくることは弥生時代から行われており、奈良時代には多くの唐鏡が大陸からもたらされた。
本作も唐鏡の影響下でつくられた作例である。鏡背の左下部に緑青が付着し文様が一部不鮮明であるものの、中央の鈕(ちゅう)をはさんだ上下に唐花の上に立つ鴛鴦、左右に獣が表されているのが分かる。圏線(けんせん)と呼ばれる円形の凸線の外側には、草蝶の文様が稜の一つ一つに交互に配されている。本作のように、青銅鏡の上下左右に対称的に文様を配する構図は10~11世紀頃まで見られるが、徐々に柔らかな表現へと変化し、平安時代後期には日本的な情緒を持った和鏡が誕生する。

2「鍍金花鳥文鉢(めっきかちょうもんはち)」 平安時代/8~12世紀

この鉢は、神仏に供えるために洗ってきれいにした米や賽銭を入れる器で、仏前に置いて用いられていたものと考えられる。
外側面全体に鍍金が施されており、毛彫りで文様が施されている。胴の中ほどで大きくくびれており、上部には唐花文様のモチーフが刻まれている。くびれ部分には葉文様と霊獣で埋め尽くされた帯状の文様があしらわれ、その下部には植物の小モチーフが配された意匠となっている。底裏には「南都大仏殿 六之内」の刻銘があり、もとは六点で一揃いであったことが分かる。

3「元祥瑞三つ葉皿(もとしょんずいみつばざら)」 中国・明時代/14~17世紀

大きくくびれた三ツ葉形の皿である。器のほぼ全体に白釉が厚くかかり、その上から透明釉が施されている。白色の胎土でやや肉厚に成形されており、ずっしりとした手取りである。
見込には鮮やかな染付が施されており、面を三分割にして山水や組亀甲などの文様で隙間なく埋めている。内側面にも舟人物や楼閣を描写した水辺の風景が一続きに染付されている。
祥瑞とよばれる染付磁器は、中国明時代末期の崇禎年間(1628~44)に景徳鎮でつくられた。日本的な意匠が特徴的に見られるのは、主に日本の茶人からの注文品であったためと考えられている。

4「茶碗 銘花ノ山(めいはなのやま)」 与州窯(よしゅうかま) 藤田登太郎作 現代

桃山時代に美濃(現在の岐阜県南部)で焼かれその後制作が途絶えていた志野焼を、現代で再生する活動を続けている藤田登太郎による作品である。志野焼は長石を原料とする釉を用いて焼かれ、白い器肌とそこにあらわれる小さな穴、鉄絵のような絵付け、表面の色調の変化などが見どころとされる。
本作の銘としてつけられている花の山は、桜などが咲きほこる山を表す言葉で、春の季語としても用いられる。口縁に五つの花文様が配され、見込みに点じられた鉄釉の文様も花弁を連想させる。器の外側面下部には山肌を思わせる鉄釉がたっぷりとかけられている。

“日本の美意識が体感できる時空間”

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