第23回 正木美術館展

大阪の泉北郡忠岡町にある正木美術館は、中世水墨画や墨蹟を中心に茶道具、仏教美術作品、考古資料などを幅広く所蔵しています。本展は東京汐留パークホテル東京25階のアトリウムで23回目となる展覧です。今回は当館コレクションの中から、装飾に用いられた草花文様をテーマに作品をご紹介いたします。草花は単に姿かたちの美しさが愛でられるだけでなく、吉祥性を表す特定のイメージと結びつきながら美術作品にも多く取り入れられてきました。作品を彩る草花の美しさや象徴的意味を通じて、日本で愛でられてきた意匠をお楽しみください。

【会場】 パークホテル東京 25F アトリウム
【期間】 2020年9月11日(金)~12月10日(木)
【料金】 無料
正木美術館ホームページ http://masaki-art-museum.jp

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【作品解説】

1「白地黒掻落牡丹唐草文壺(しろじくろかきおとしぼたんからくさもんつぼ)」  中国・北宋時代
やや灰色がかった土を轆轤挽(ろくろび)きして成形している。側面全体に白化粧を施し、その上に黒く発色する鉄釉をかけ、線刻によって模様がつけられている。胴の周囲に二本の線文を引いて側面を三つに区切り、上部と中央部にはやや幾何学的に意匠された牡丹文を散らし、下部には雲形を巡らせている。中国では古くから牡丹を「花王」 と称し、富貴の象徴として好まれてきた。日本には奈良時代に伝わったとされ、蝶鳥文や唐草文などのモチーフと結びつきながら広く用いられるようになった。
白地黒掻落の技法は、作品2よりやや時代が下った北宋時代末期から盛んに用いられた。

2「白地掻落牡丹文枕(しろじかきおとしぼたんもんまくら)」  河北省磁州窯(かほくしょうじしゅうよう) 中国・北宋時代
灰色味をおびた胎土を成形し、掻き落とし の技法を用いて仕上げられた陶枕(とうちん)(陶磁製の枕) である。成形された素地に白い化粧土を厚く盛り、模様を線彫りして余白部分の化粧土は削り落とし、最後に透明釉がかけられる。内部が空洞になっているため手に取ると軽い。天面に円窓をつくって繋ぎ紋で上下に区切り、それぞれに菊花と牡丹が表現されている。
河北省磁州窯は中国の五代時代末期から近代にかけて存在した窯である。本作のような白地掻落による作品は北宋時代に誕生し、後に作品1のような白地黒掻落の技法も生まれ、磁州窯を代表する多様な作品が生産されるようになった。

3「古伊万里辰砂皿(こいまりしんしゃさら)」  江戸時代
古伊万里は主に18世紀末までに作られた伊万里焼のことを指し、金彩を焼き付けた金襴手(きんらんで) などに代表される色絵と、本作のような染付による作品とに大別される。
皿の中央に円相をつくり、数株の小菊をコバルトブルーの絵の具で染付し、辰砂(焼くと深紅色を呈する釉)で部分的に着色されている。円相の周囲には放射線状に菊の花弁が彫り込まれ、輪郭線の筋状の盛り上がりが本作を特徴づけている。日本では9月9日を重陽の節句とし、宮中で観菊の宴を催したり菊酒を飲んだ風習から、不老長寿のイメージが定着するようになった。

4「絵高麗梅鉢文茶碗(えごうらいうめばちもんちゃわん)」  中国・元時代
本作は高麗茶碗(朝鮮半島で焼かれた茶碗)の一つと考えられて絵高麗の名称で呼ばれるが、実際には中国河北省の磁州窯でつくられた。日本に16世紀頃に伝わり、茶人たちが当時特に価値があるものとしていた絵高麗の名称で呼んで親しんだといわれている。
本作は、側面に七曜星(日月と木火土金水の五星を合わせたもの)と考えられる模様が描かれているが、日本ではこれを梅花に見立てた。梅花は厳しい寒さの中、いち早く花を咲かせて実を多くつけることから、生命力や忍耐力、子孫繁栄などの象徴として好まれてきた。

“日本の美意識が体感できる時空間”

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