青は、空や海、水など大自然の象徴的の色として、古くから日本をはじめ、世界中で馴染みのある色です。
今回の「RYOMI(涼味)」展では、青を使用した作品を中心に展示致します。
江戸期夏美人と、泥絵という幕末から明治に江戸土産として売られていた西洋絵画風の作品、そして現代画家の荒井経さんの藍色を使用したどこか懐かしい風景や、水口和紀さんの清々しい日本画とともに、日本人に馴染み深い藍色や青をテーマに展示を致します。
ひんやりとして心和む涼しげな空間を是非お楽しみ下さい。
期間: 2012年6月11日(月) ~ 8月31日(日)
時間: 11:30 a.m. ~ 10:00 p.m.
場所: 25F Atrium
料金: 無料
[協力]羽黒洞
[総合プロデュース]creative unit moon
[映像制作]antymark
荒井 経 (あらい・けい) | 水口 和紀 (みずぐち・かずき) | 吉原 真竜 (よしわら・しんりゅう) | 高 麿 (たかまろ) | 肉筆浮世絵 (にくひつうきよえ) | 泥 絵 (どろえ)
1967年 栃木県生まれ。2000年 東京芸術大学大学院修了・サロンドプランタン賞受賞、2004年博士号取得。
文化財保存修復の研究、泥絵など古典的な画材、技法を探求し、現代的日本画の作品を発表している。
VOCA展推薦出品(’00年、’05年)、損保ジャパン選抜奨励展推薦出品(’06年)、
佐藤美術館、松坂屋美術画廊(名古屋/東京)、潺画廊、羽黒洞等で数多くの個展を開催。
宇都宮美術館や栃木県立美術館などの企画展、国際的な文化交流展などに参加。
気鋭の日本画家として国内外問わず大変注目されている。
現在、東京藝術大学大学院美術研究科准教授。
1973年 東京都生まれ。武蔵野美術大学大学院美術専攻日本画コース修了
2009年 上野松坂屋にて個展、2010年 湘南台画廊にて個展(’11)など
2011年 Young Art Taipei(湘南台画廊)| アートフェア名古屋松坂屋VARIA(廣岡美術)
2012年 Hong Kong Contemporary(湘南台画廊)
1804-1856 豊後国(現在の大分県)に生まれ、若くして上京し、京都で活躍した浮世絵師。
上方(関西)風の、丸みのある、妖艶でありながら、品のある美人画を残している。
この図は、夏らしい涼しげな笹柄の浴衣をまとい、当時流行していた笹紅(ささべに・現在のグロスのようなもの)を下唇に何度も紅を重ね金緑に艶を出した女性が描かれている。
高麿という印はあるが、詳細は不明。江戸時代後半の作品と思われる。
髪型や顔つきなどから当時の女形(おやま)を描いたと思われる。
女形とは歌舞伎での女役のことをいう。幕府が歌舞伎などに女性が演じることを禁じたために、その代わりとして男性が女形として登場し、 芸道修業のため、常に女装の姿で女性のように日常生活を送るものとされていた。
紺地の浴衣に紋が版で表現されたモダンな作品である。
浮世絵は長い乱世が終わり、世の中が平和に向かっていた江戸時代に生まれた日本の代表的な絵画。
版画とは違い、作者が直筆で描いたものを肉筆という。また、浮世とは、少し享楽的なイメージもあるが、根底には庶民の自然体な浮世観がテーマにある。
美人画、風景画、役者絵などその時代の文化をみることができる歴史的な資料でもあり、黒い部分は墨を使用し、色は胡粉や岩絵具を使用している。
江戸末期から明治の頃に顔料に胡粉をまぜた不透明な泥絵具を用いて描かれた庶民的な絵画で、特に江戸ではみやげ絵をして販売された。
参勤交代で江戸に務めた人が国に帰る際に持ち帰ったといわれている。
そのため画題には富士を配した名所や、白壁の大名屋敷、江戸城門とした風景画が多い。
舶来絵画の影響を受け、遠近法などの洋画の技法で描かれており、西洋文化を素直に受け入れた素朴な民画といわれている。
この絵具の不透明さが油絵に似ていたので、油絵具代用として硝子絵などや、芝居の看板絵など強烈な色彩を必要とするものに用いられていた。
銭湯で見かける富士山は、このお土産品の名残りともいわれる。