パークホテル東京では、アートを媒介に日本の美意識のひとつでもある室礼(しつらい)によるおもてなしでゲストをお出迎えしております。その取り組みのひとつとして、日本の四季を表現する展示会ART coloursを開催しています。30 回目となる今回は、日本における古代人の自然観を凝縮したような「秋」を香川大介の作品で表現いたします。
春と秋の年に二度、太陽が真東から出て真西に入る期間があります。
いわゆる阿弥陀の極楽浄土に最短距離を記す季節で、日本では昔からお彼岸として親しまれています。「彼岸」はもともと「日願」とも言われ、秋のお彼岸は、先祖供養と共に自然の恵みに感謝し、来年の実りを願ってお日様を拝む時期とされています。
タイトルにある「まれびと」とは、国文学者の折口信夫によると、常世という遥か遠くから訪れる人知を超えたもの(=神)や自然現象をさす言葉であり、それが民間伝承となって、畏敬とともに来客を迎え、手厚くもてなす方式を日本人が育んできた素地になったとも言われています。
画家の香川大介は、専門的な美術教育を受けず、自らの感覚と知見を頼りに、東京(江戸)の鬼門にあたる艮(うしとら)の方角に鎮座する日光東照宮にほど近い古民家を拠点にして、「まれびと」のはたらきを表すような作品制作を行っています。それは、自身をとり囲む万物、とりわけ人の手からなる工芸、古道具への興味から、古代信仰へのリサーチを元に自然との関わりを考察し、奥日光での生活体験や仲間とのつながりを通じて、現代に生きる自分独自のアートに言い換えていくという地道な、しかしとても勇気を伴う作業でもあります。2017年にはパークホテル東京の「アーティスト・イン・ホテル」プロジェクトで『縄文』という客室を制作して話題になりました。
今展覧会ではその香川流縄文ワールドがさらに深化し、ホテルの25Fにあるアトリウムと、31Fのフロア全体に展開され、皆様のお越しを「まれびと」たちがお待ちしております。
昼と夜の長さが等しくなり、一日のバランスが調和する穏やかで豊かな秋を、自然に対する深層意識に呼びかけるアート作品と共にパークホテル東京でお楽しみください。
出展作家: 香川大介
期間: 2019年9月2日(月) ~ 12月1日(日)
時間: 11:00 a.m. ~ 8:00 p.m.
場所: 25F / 31F
料金: 無料
[出展作家]香川大介
[キュレーション]creative unit moon by KON-KON
[グラフィックデザイナー]神戸菜美子 (creative unit moon)
[映像制作] antymark annex
[主催]パークホテル東京
*アフタヌーンティーのデザートの一つとしてご提供
福岡県出身の画家。フランスでのスケートボードデザインや、絵画収入による日本徒歩縦断などを経て現在は栃木県日光市在住。絵画に限らずあらゆる創作の場として、築100年の古民家を自身で修復し2017年に生活・工房・店舗の複合スペース『吉見屋/香川大介美術館』を設立。形にとらわれない“創作”そのものを中心とした生活を目指している。
グラフィックデザイナー/クリエイティブユニット・ムーン
筑波大学芸術専門学群視覚伝達デザイン専攻卒。
玩具制作会社にて商品デザイン・企画を経て、精密機器メーカーの宣伝部にて企業ブランディング等に携わる。
退社後フリーデザイナーとして、ポスター、ロゴ、パンフレット等のグラフィック制作を行う。
パークホテル東京でのART colors展では、多くの展示においてポスター等のグラフィックを担当。
ラウンジ&バー 料理長
1994年、芝パークホテル入社。レストラン「プリムラ」を皮切りに、フレンチレストラン「フォーシーズン」にてエスコフィエの真髄を学ぶ。2015年、パークホテル東京「アートラウンジ」及び「ザ ソサエティ」料理長に就任。パークホテル東京の世界観を創造する「発想の自由さ」を大切に、多様性のある料理を提供している。