凍てついた空気が徐々にゆるみはじめ、日本の春は少しずつやってきます。
固い蕾みがふくらめば身も心もほぐれていくようです。芽吹いたばかりの緑や、咲き始めの紅、そして百花繚乱。
その匂いその色に酔ってしまいたい特別な季節です。
展示は、自然光がさす贅沢な空間で四季を感じながら、古今の日本アートをお楽しみ頂けます。
日本の象徴でもある「桜」を中心に、「花」をモチーフにした平賀敬、門坂流、生井巌、美濃瓢吾、柴田まどか等、現代の画家がそれぞれに捉えた「春」の作品のほか、桃山時代に好まれた華やかな柳橋屏風(りゅうきょうびょうぶ)と江戸の肉筆浮世絵の掛け軸などを展示致します。ゆるりとした穏やかなひと時をお楽しみ頂ければ幸いです。
期間: 2013年3月12日(月) ~ 5月19日(日)
時間: 11:30 a.m. ~ 10:00 p.m.
場所: 25F Atrium
料金: 無料
[協力]羽黒洞 、 不忍画廊
[総合プロデュース]creative unit moon
[映像制作]antymark
肉筆浮世絵 (にくひつうきよえ) | 平賀 敬(ひらが・けい) | 門坂 流(かどさか・りゅう) | 生井 巌(なまい・いわお) | 美濃瓢吾(みの・ひょうご) | 柴田まどか(しばた・まどか)
浮世絵は長い乱世が終わり、世の中が平和に向かっていた江戸時代に生まれた日本の代表的な絵画。
版画とは違い、作者が直筆で描いたものを肉筆という。また、浮世とは、少し享楽的なイメージもあるが、根底には庶民の自然体な浮世観がテーマにある。
美人画、風景画、役者絵などその時代の文化をみることができる歴史的な資料でもあり、黒い部分は墨を使用し、色は胡粉や岩絵具を使用している。
1936年東京生まれ 1959年立教大学経済学部卒業。
浮世絵の模写を基本にしたデッサン力で、細部を丁寧に描きながら表現された個性的な平賀の「日本」は、エロチックであり、また諧謔的である。
そこに魅力を感じるファンが大変多い。箱根湯元に平賀敬美術館がある。
パブリックコレクション:ニューヨーク近代美術館、ビクトリアアルバート美術館、ハーレム美術館、ルンド美術館、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館他多数
1948年京都生まれ 1968年東京芸術大学油絵科入学。
書籍装幀、雑誌挿絵などにドローイング作品を発表。
1985年頃よりエングレーヴィングの技法を研究。
先端が鋭利・シャープな道具(鉛筆、丸ペン、ビュラン、面相筆等)を使い、対象を視ることで生じる感覚をそれらの先端に集中し、
出来るだけ重ならない線で紙や銅版に刻み付け、ある飽和状態で完成させている。
1941年東京生まれ 主に墨を使用し、春夏秋冬、自然にそって身の回りのものをありのままにひたすら描く。
描くだけでなく、花や実をつみ、観て、遊び、食べる。
素直に、じっくり向き合うと、何か必ず発見があるという。
「絵手紙お元気ですか武蔵野花だより風だより」を出版。(駿台曜曜社)
1953年大分生まれ 立教大学経済学部経営学科卒業。
画家平賀敬に師事。浅草木馬館でピーナッツや丸煎餅を売る傍ら、福助・招き猫・大入看板画といった、いわゆる「祝額」を描いていた。
最近では「浅草人間絶景論」と銘打ち、近未来の活人画(人間マジック)または見世物もどき浅草版「洛中洛外図」世界へと筆を進める。
著書に『浅草木馬館日記』(筑摩書房)、「逐電日記」(右文書院)、絵本「あいうえおばけのおまつりだ」(長崎出版)がある。
1974年神奈川生まれ 1998年武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。
目の前のものを、物質や風景としての捉え方ではなく「視界」として捉え、油彩を使用しながら、色彩豊かに制作をしている。