17室目は「野菜」をテーマに画家の中村 眞弥子さんが2015年5月12日から制作をスタート、2015年6月11日に完成いたしました。
「お部屋を白磁のうつわと見立てた」という中村さん。壁の白さにこだわり、作画前の壁に白の下地を5回重ね塗り。ご自身がファンだという、世界でもその希少性や完成度の高さで有名な鍋島焼の色彩や形を用いて、日本原産の野菜47種類を壁いっぱいに描きました。透明感あふれる、洗練されたデザイン性を感じられるお部屋となりました。
「この部屋で過ごすお客様に、自分の家から庭に出て散歩するような、そんな時間を楽しんでいただきたい」という作家の思いから、壁にはぐるりと絵巻物のように日本家屋を取り巻く風景が点在します。ベッドに向かって右側は縁側。となりの台所を通って、野山へ。小川、湿地、沼地、裏山を通り抜けて野原、そして我が家の庭に戻ってくる。いくつもの季節と場所が交錯する不思議な白い空間を、ヤマウド、ゼンマイ、山椒、松茸といった日本原産の野菜が彩ります。
47種類の野菜を探しながら、お部屋をゆったりとお散歩していただければ幸いです。
Room #3132 | 完成:2015.06
お部屋を白磁のうつわと見立て、日本人の美意識が反映された鍋島焼の色やかたちを用いながら 47種類の日本原産のお野菜を いけてみました。
縁側、台所、野山。小川、湿地、沼地。裏山、野原、お庭。そして ふたたび縁側へ。
絵巻物のような風景のはざまを ゆったりとお散歩していただければ幸いです。
中村眞弥子
1976年東京生まれ 東京在住の美術作家。
2009年より平面作品を中心に国内外で発表。からだの感じる空間のさかいめ・あたまの知っている実在の印象・こころの求めている普遍的なかたちに無数の感覚を重ねながら、もうひとつの日常を描く。装画やCDスリーヴに作品を提供。音楽家、服飾のブランドとのコラボレーション。食器の上絵付けや時計の制作なども幅広く手がけている。