妖怪

第5弾 馬籠 伸郎

お部屋を丸ごとアーティストが装飾する「アーティスト イン ホテル プロジェクト」第5弾は「妖怪と空」をテーマに日本画家の馬籠伸郎さんが、3月16日から制作をスタート、8月4日に完成いたしました。
「妖怪と空」をテーマに選んだ馬籠さんは、ベッドに寝た時に一番空がひらけて見える3125室を、この作品のために選びました。
部屋に入ると、まず目に入るのはにっこりと笑う大きな河童。楽しそうな妖怪たちが、空に向かって列を作ります。空=天井のシーリングライトを中心に渦巻くのは、東の青竜・南の朱雀・西の白虎・北の玄武の四神の形をした雲。部屋を守ってくれるようにという願いが込められています。
そして空に帰っていった妖怪は、またお部屋にある丸い鏡からするりと出てきて、窓枠を通りぐるりと一周して河童のアーチをくぐりまた空に帰っていく…妖怪一人一人を、時間をかけて丁寧に描いたため、制作期間としては4カ月を超える作品となりました。
妖怪たちが遊ぶ、どこまでも蒼い空。描かれているのは、人を幸せにする妖怪です。

[スタッフからのおすすめコメント]
“妖怪”とは日本の古くからの言い伝えの一部であり、現在でも恐ろしい存在とされています。あまり人から好まれるイメージはない妖怪たちですが、パークホテル東京内の客室の一つである“妖怪”の部屋の製作者、馬籠伸郎氏によって描かれた妖怪たちは、一般的なイメージとは違った印象を与えてくれます。明るく温かみのある、優しい笑顔をしたパステルカラーの妖怪が壁に描かれており、天井には永遠に広がり続けるような青空、その真ん中には太陽をイメージしたライトが輝いています。この部屋の特徴として、壁やカーテン、クローセットの中など様々な場所に隠れている妖怪もいるので、ぜひ隠れ妖怪を探しながらお部屋での時間をお楽しみください。

Room #3125  |  完成:2014.08

Artist’s Message

古来、日本には森羅万象に霊(神)が宿ると言う考え方があります。
その一部を人の目に見せる事が出来たのが、昔から描かれ、伝えられて来た妖怪画であると私は思っています。
妖怪は人の行いによって、善にも悪にも変わる神聖なものであると理解しています。
それゆえ人々への戒めに怖いものとして 描かれて来た事が多かったのですが、
私は今までの逆の面を描き、人を幸せにする善の時の妖怪たちを見てもらいたいと思い、描いています。
また、私の作品の中の妖怪は擬人化したものであり、我々自身でもあります。
妖怪画と言う芸術で我々の日常にある不安を露呈し、今生きている世界を風刺しながら、
ネガティヴなものをポジティヴなものに変える表現を志しています。

馬籠 伸郎

“日本の美意識が体感できる時空間”

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