パークホテル東京は、アートとともに過ごす滞在を楽しめるアートホテルです。客室や廊下、ロビーにいたるまで、館内のいたるところに作品が息づいています。ご滞在中にお気に入りの一点と出会い、そのままご自宅へお迎えくださるお客様も少なくありません。
「Art That Travels」は、ホテルで出会ったアート作品が、お客様のもとへ旅立った後の物語をご紹介するシリーズです。作品はチェックアウトとともに物語を終えるのではなく、新しい場所で、新しい暮らしのなかで、静かに時間を重ねていきます。
第2回となる今回は、スペイン・バルセロナからホテルに届いた数枚の写真と、そこから生まれたアーティストとの交流をご紹介します。

ある日、パークホテル東京で作品をお迎えくださったお客様から、一通のご連絡が届きました。添えられていたのは、バルセロナで撮影された美しい写真の数々です。
屋上から望む、街並み。オレンジ色の屋根が連なり、遠くにはサグラダ・ファミリアの尖塔が見えます。その風景のなかに、東京から旅をしてきた作品が、静かに佇んでいました。
作品は、アーティスト・佐藤紘朗さんの「小さな庭師」。パークホテル東京のロビーでの展示でお客様と出会い、遠く海を越えて、いまはバルセロナの日常の風景の一部になっています。
どの写真からも、作品が新しい場所で大切にされていることが、言葉以上に伝わってきました。飾られている場所、光の入り方、そして写真を撮ってくださったという行為そのものに、作品への愛情が表れているように感じます。
東京で生まれた一点の作品が、バルセロナで新しい物語を紡ぎはじめていました。

この写真を、私たちは作者である佐藤紘朗さんにお届けしました。
しばらくして、佐藤さんから直筆のお返事が届きました。丁寧な手書きの文字で綴られたメッセージには、作品を送り出した作家としての率直な喜びが、静かににじんでいました。
【佐藤紘朗さんの直筆メッセージ(原文)】
作品は、作家の手を離れた瞬間に完成するのではありません。誰かのもとへ届き、その人の暮らしのなかで見つめられ続けることで、はじめて長い時間を生きはじめるのだと思います。佐藤さんのお返事は、そのことを改めて教えてくれました。

ホテルという場所は、本来「通り過ぎていく場所」です。お客様は数日を過ごし、チェックアウトとともに日常へ戻っていかれます。
けれど、アートは違います。館内で出会った一点が、お客様とともに国境を越え、まったく別の街の、まったく別の暮らしのなかに根を下ろす。そして今回のように、その後の風景が写真となってホテルへ戻り、作家のもとへと届く。
作家のアトリエから、東京・汐留のホテルのロビーへ。そしてバルセロナの屋上へ。一点の作品をめぐって、こんなにも遠い場所と場所が結ばれていくことに、私たちは驚き、そして深く感謝しています。
アートホテルとして私たちができるのは、その最初の「出会い」の場を用意することだけです。その先の物語は、作品と、それを迎えてくださった方が紡いでいくもの。だからこそ、こうしてお便りをいただけることが、何よりの喜びです。

パークホテル東京では、館内に数多くの作品を展示しており、その多くはご購入いただけます。気になる作品がございましたら、どうぞお気軽にコンシェルジュまでお声がけください。
いつかあなたがお迎えくださった一点も、新しい場所で、新しい物語をはじめるかもしれません。
アートが生む出会いと交流に、心から感謝しています。
