パークホテル東京では、アートを媒介に日本の美意識のひとつでもある「室礼(しつらい)」によるおもてなしでゲストをお出迎えしております。その取り組みのひとつとして、日本の四季を表現する展示会ART coloursを開催しています。ジャンルや固定観念に捕われず、様々な表現方法で独自の世界を創り出すアーティストを紹介する、hpgrp GALLERY TOKYOによる展覧会を開催いたします。昨年以降、まるで長い冬籠かのような時間が続いていますが、不穏な静けさと、出口の見えない混沌の中で葛藤しながら、アーティストたちは日々作品を作り続けています。大きく変化する時代や環境に影響を受けつつも、追求する美意識や存在意義といった不変の感覚を大切にする10名のアーティストによる作品をご紹介いたします。 作品としての完成度、素材や表現の多様性はもちろん、時代や社会を通じて映し出される豊かな個性をお楽しみください。
よくない事の続いた後にいい事がめぐって来ること。冬が終わり春が来ること。
客室が丸ごとアート作品になっている「アーティストルーム」を、本展示開催中に出展作家feebeeが制作いたします。
※制作作家は変更になる場合もございます。
期間: 2021年11月15日(月)~2022年5月15日(日)
時間: 11:00 a.m. ~ 8:00 p.m.
場所: アトリウム (25F)
料金: 無料
ご宿泊に関わらず、どなたでもご覧いただけます。
[キュレーション]hpgrp GALLERY TOKYO
[デザイン制作]Design Studio PHT
[映像制作] antymark annex
[主催]パークホテル東京
※不定期に作品入替を行います
展示中の作品「跡」にインスパイアされたフォワグラのガトー仕立てを含む、ハイティーセット。
Inspire:メイン:跡15-03
デザート:萌ゆ水占ふ
提供期間:~5月15日(日)
提供時間:17:30~(ディナーのみ)
料金:お一人様 ¥5,500(お料理のみ)
展示中の作品「萌ゆ水占ふ」にインスパイアされた一品。作品の鮮やかな色彩と、ひとつひとつの点で表現せされた力強い情景より草木萌ゆる春の息吹きを感じ、旬の平貝を使い芽吹きの春を表現しました。
Inspire:The Great Transformation
提供期間:2022年 3月4日(金)~4月30 日(土)
※花山椒の営業日に準ずる
料金:3,630 円(消費税・サービス料込) 単品
世の中の全ては変化し続け、時に望ましく、時に望ましくなく姿を変えます。
全ての[物]には始まりがありますが、終わりはあるのでしょうか?
終わりに感じるそれも、また新しい始まりなのかもしれません。
日本の酒の起源と、劣化した酒の再利用を結び付け新たなカクテルとしました。
提供期間:~2022年5月15日(日)
料金:1,600 円(消費税・サービス料込)
アートカラーズ ダイニング バー ソサエティ料理長
花山椒 料理長
カクテルデザイナー
生命の循環過程を表している十二支。
今世界をゆるがしているパンデミックは、社会、経済、そして私たちの生活に歴史的な大変革をもたらしている。作家feebeeは、その大変革を十二支に属さない動物たちで表現されたとのこと。
一見シンメトリーに観えるネコをじっくり鑑賞すると、今にも動き出しそうな精妙に描かれた毛並みに言葉をのむ。引き込まれそうな瞳には神獣のような鋭さを感じる反面、どこか繊細で儚い優しさも伝わってくる。作品を通して様々な感情が湧き上がってくる感覚を是非ご体感ください。
この作品は2021年4月に開催された個展「Nothing Is Without Meaning」に向けて制作されたものです。「生きている」、「生きるということ」または「人生」とも訳せるかもしれないこの作品名「living」とは、アーティスト、リカルド・ゴンザレスの言葉です。「living」は自身を表現するフレーズだけにとどまらず、彼の哲学とも言えます。美しく、シンプルな書体で描かれる彼の作品には、巨大なスケールの壁画や世界規模のブランドのロゴや広告、またストリートで見かけるステッカーまで、様々な形での作品があります。今回の新作シリーズには「Breathe」、「Walk」、「Think」など、人生において幾度となく繰り返される行動が散りばめられています。私たちが繰り返す日常の一瞬がやがて人生となるように、アーティスト、リカルド・ゴンザレスの手によって反復される言葉は豊かな表情をまとい、まさに今の時代に力強い存在感を示すメッセージとなります。
『私たちの日常に無意味なことなど一つもない。どんな行動も知らず知らずのうちに他者と繋がり、自分達を理解することにつながる。些細なことが他人や自分の人生に深く 影響することもある。毎日の全ての行いが私たちの人間性を決定し、そして人生の意味 を形作っていく。それがIt’s a living、”生きる”ということだ。 ーリカルド・ゴンザレス』
鵜飼さんはアート作品によって、痕跡を残す行為、偶発的な美しさや人の手が及ばないものを合わせることを目指しているということである。木材と漆が殆どの作品の主な材料であるが、「跡15-03」には金箔も使われている。金箔の使用によってこのアートはより豊かに表現されていると言える。作家は木の自然のうねりと節に沿って作品の形を彫り、その表面に木の樹液である漆を塗り重ねた。アートに透明度の高い漆が使われているため、奥行が綺麗に見える。竜文塗という塗装技法で自然に出来上がった模様が「跡15-03」の大きな魅力点である。
柔らかい木の削られた表面が漆で固められたこの作品は、逞しく、その逞しさによる美しさが伝わる。私は「跡15-03」を見た時、その美しさに気付き、励まされた。また、漆塗装の奥に見える金箔は、木の中に明かりが隠れているように感じさせられる。様々なことを重ね、美しく強くなることがこの作品の目に見えない特徴であると思う。それは、良い励みになるメッセージでもあるので、観覧者にこの作品が良いインスピレーションを与えることを願っている。
作者の竹内氏は「本当に大切なものは目に見えない。とはよく言われることだが、果たしてそうなのだろうか?」と述べた。何かを時間をかけて観察したり、視たりすることで最初の頃には見る事のできなかった何かが見えてくるという経験は皆さんにあるだろうか? 表面的ではないものを見極めるためには「視る」と「待つ」という能力を鍛えておくことが重要だと感じた私は、この絵と会期中対話してみることにした。
時間をかけて物事を観察することが好きな方は是非この作品と対話してみてはいかがだろうか。
あなたは作品を見る際に、タイトルを先に見ますか?あるいは、作品を見てからタイトルを確認しますか?
今回私は、タイトルを見る前に作品を眺めてみました。すると、私にはこの作品が丸い大きな種から生き物のように這い出し、空を目指して芽を伸ばす植物のように見えました。しかし、作者は上空を指しているかのようなこの作品の角状の突起の鋭利な先端から、「痛み」を想像し、「人差し指と痛点」というタイトルをつけたそうです。アートというのはおもしろいもので、見る人によって作品に対して抱くイメージが大きく異なることがあります。お友達や家族、同僚、あるいは偶然この場で出会った人。誰かとこの作品についてお話してみませんか?あなたの思いもよらぬ想像をした人と出会えるかもしれません。
誰もが一度は目にしたことがあるこの木彫りの熊は、熊を象った木製の民芸品だ。この作品を見ると、野生のヒグマが川沿いで鮭をくわえている光景が目に浮かぶだろう。物を直して使う時代から、最初からすぐ捨てられることを前提とした商品も少なくない現代の消費社会では、使われなくなったり必要とされなくなったりするものも多く存在する。この木彫りの熊もそうだ。木は、生命として立っている時はもちろん切られて材料になってからも湿気で反ったり、割れたり、製品になって人に使われるようになってからも色や形が時間と共に変化していく。最終的に朽ちて土に帰るか焼却されるかしない限り、命のかけらは失われない。
製品としてまっとうできなかったこの木彫りの熊も、内部に残るその命のかけらによって新たな芽を生やし、もう一度植物として蘇えるのである。
この作品の軸には「変容」というテーマがある。今これを見ているあなたには自由な視点で想像を膨らませて見て欲しい。そして、あなたの生活にそっと寄り添い、その日の気分によって見え方が変わったり、新たな物語を生み出してくれたりするような作品であってほしい、というのが作者の垂谷さんの願いだ。私は最近、登山に初めて挑戦した。普段都心では見ることができない景色や空気感、山からみなぎる力をこの作品が思い出させてくれた。Grainsシリーズの一つであるこの作品には、よく見ると小さな粒が描かれている。それらが丹念に繋ぎ合わせられていて、その一つ一つの粒は、この世界に存在する自分自身と他者とを表現している。
これを見ているあなたはどんな想像をしただろうか。